D&DEPARTMENT TOKYO:ナガオカケンメイ/デザインしないデザイン

尊敬するデザイナーはと聞かれたら、迷わずナガオカケンメイと答える。彼が語った「デザインしないデザイン」という言葉が、私のデザイナーとしての原点になっているから。
10年以上ぶりに、彼がプロデュースするD&DEPARTMENT TOKYOを訪れた。ランチをとろうと思っていた「D&DEPARTMENT DINING」が閉店していて驚いた。スタッフに尋ねると、昨年12月に閉じたのとのことだった。セレクトショップは2階に変わらずあった。しかし、ちょっと窮屈だった。20年ほど前、はじめて訪れたときの「おしゃれな古道具屋さん」の雰囲気に戻っていた。
フジテレビの「ニューデザインパラダイス」という番組で彼が取り組んだ「学校の机をデザインする」という企画のコンセプトが「デザインしないデザイン」だった。

“入学時に選んだ机の天板が自分専用になる。卒業時には自分の天板をフォトフレームに加工して、思い出の写真や卒業証書を飾れる。机についた傷の1つ1つも記憶につながり、大人になっても学校のことを忘れない、無理のない記念品となる。”

今見返してみると、物語の押し付け感がややある気もしてしまうが、「デザイン=見た目が良いもの、目新しいもの」と疑いなく思っていた当時の私には大きな衝撃だった。物語やコミュニケーションが生まれるデザインがしたい。そう思い、今まで試行錯誤してきた。
D&DEPARTMENT TOKYOは小さくなっていたけれど、変わらない価値観で、さまざまな事業を展開しているの活動をこれからも追っていきたいと思った。


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追記
ナガオカケンメイのトークショーに参加した14年前の日記が出てきたので転載しておく。これからの「私」に向けて、14年前の私が残してくれたナガオカ氏の言葉。私はちゃんとその延長線上にいる。
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ナガオカケンメイのトークショーに行ってきた。場所は八重洲ブックセンター。職場の真ん前。ナガオカケンメイが私のところに来てくれた!と言っても過言ではない(過言だ)くらいの距離だ。
トークショーはとても興奮し、共感した。こういう、未来に向かう感じの心の動きは久しぶりだった。
収穫の1つ目は、ナガオカ氏の考え方の点が、私のなかで線となったこと。なぜ彼は、「デザインしない」のか。それが私なりに、理解できた気がした。
2つ目は、ナガオカ氏のビジョンに賛同し、「カリモク60」を作り上げたカリモク家具の話が聞けたこと。カリモク家具の担当者・山田さんが、カリモク60実現までのプロセスから、製造サイドやトップ、得意先との折衝のことなど、かなり泥臭い話まで、具体的な話をいろいろしてくださった。こういう企画物は、デザイナー側(ナガオカ氏側)の話に触れることは多くても、メーカー側の話を聞く機会は少ないと思うから、貴重な話だったと思う(60VISIONに関してはここに詳しい)。
そして3つ目は、ものづくりの原点は「想い」であることを再認識したこと。そしてそういうものづくり手でありたい、と改めて思い直したこと。そしてそれを、今よりもっと具現化したものを、将来やってみたいと改めて思ったこと。今の生活にも満足しているけど、一旗揚げてみたいという気持ちは、やっぱり捨て切れない。
トークショーの後のサイン会で、ナガオカ氏と少しお話もすることもできた。

最後に、もらったパンフレットにあった一節を、これからの「私」に向けて。

 どんなことにも「はじめたとき」があります。
 創始者の若さもあるかもしれませんが、様々な理由があって
 そのものづくりをはじめたのです。単純な思いでは始めていません。

 自分の夢以上の思い。社会や日本をよくしたい。
 みんなを幸せにしてあげたい。あの人の喜ぶ笑顔をみたい。

 人がものをつくる動機のほとんどは、実はそうだと思います。
 だから、思うのです。
 どんなに時代が、自分が、社会が変わってしまっても。
 この原点は大切なのです。そう思いませんか。